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イベントレポート『中藏』(企業人と車座で話そう in 京都企業)

2016.10.19

『企業人と車座で話そう in 京都企業』では、
京都市内にある企業を訪問して、
そこで企業人と“働き方や“生き方”についてざっくばらんに話し合います。

イベントレポートでは、
当日の雰囲気や学生たちとトークをしているときの
“企業人の印象的な話”をできる限り伝えたいと思います。


date:2016.9.28

「京町家は昔からの知恵が積もり積もった結晶です」

 

今回は、株式会社 中藏。
現代京町家を手がける企業です。

二条駅から御池通を東に向かって歩いていくと、
木の格子がおしゃれなショールームがあります。

 

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元々は左官業からはじまった中藏。
ここ10年のあいだは現代京町家など新しい取り組みが注目されてきました。

 

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今回はショールームの中でイベントを行いました。
参加者は町家や日本文化に興味がある学生ばかり。

 

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イベントスタート。
自己紹介や会社説明をした後は、みんなで輪になってトークタイム。
社員の方2名と会長を囲んで自由に話し合いました。 

「小さな企業の方が力を発揮できる機会が多いです。
大企業と中小企業にはそれぞれメリットとデメリットがあります」
という会長は、元々教師志望でしたが、大学卒業後に金融機関に就職。
中藏の担当になると先代会長と意気投合し転職を決めました。 

「現在のミッションは働きやすい職場にすることです。
そこには環境だけでなく、やりがいも含んでいます。
与えられた仕事をこなすのではなくて、みんなで仕事をやってほしい。
そうなるように取り組んでいます」

 

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トークではやはり「町家」が話題になりました。

「京都の暮らし、文化は大切なものです。
住まいは文化の発信源です。
京町家は住まいと職場を兼ねていることもあり、
うなぎの寝床とも呼ばれています。
どの建物も同じ造りでできていて、先人の知恵が詰まっています」

「ずっと受け継がれてきた文化は建物を通して染み出しています。
それをどう伝えていくかを考えるようにしています。
現代京町家では、間取りは京町家でも、技術は最新のモノを使用していて、
いまの人が快適に生活できるように工夫しています」

職住一体が基本となる町家にはしっかりとしたカタチがありますが、
作る側にとって大切なのは、ハード(設備)よりもソフト(暮らしにあったもの)
になるといいます。

「京町家は昔からの知恵が積もり積もった結晶です。
そこに人々は憧れや尊敬を持っているのではないでしょうか」

 

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トークではさまざまな話題で盛り上がりました。その一部を紹介します。

「京都では、たとえばある家の玄関が新調されたら、隣の家も玄関だけ新しくなります。
周りがいるので全体をガラッと変えるようなことはしません。
その点、外部から来た人はガラッと変えることがあります。
そうしたこともあって、
町屋を建て替える依頼は地元の人からと外部の人からとが半々くらいです」

「中藏が『藏や』という事業をはじめた理由は、空き町家を活用するためです。
空き町家をどうするかは以前から課題でした。
そこで『藏や』では空き町家を旅館として活用することを考えました。
インバウンドがあるからはじめたわけではなくて、
もっと前から京町家のためにはじめたものです。
現在は個宿を3棟所有していますが、来年の春には10棟に増える予定です。
活用されていない町家はたくさんあります」

「これからは木造が世界のトレンドです。
地震が起きないフィンランドでは、
60階建ての木造マンションが計画されているくらいです。
木造にする一番のメリットはCO2の排出削減ですが、
さらに日本に関していうと、伐採しないといけない木がたくさんあるので
国策として木を使っていく方向になっています。
また最近の技術で防火や着火にも強く、燃えたとしても崩れにくいです。
学校など教育施設も木造で建てようという動きがありますね」

 

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「京町家は一回壊すと再生できないです」

 

後半は少人数のグループにわかれてのトークタイム。
まずは、設計・営業・企画と何でもこなすSさん。
現在は『蔵や』ブランドなどのプロジェクトの中心メンバーであり、
新しいニーズを探り、新しい仕事をつくっていくことをしています。
そんなSさんは3度の転職経験があり、中藏で4社目。

――どうして中藏へ?

「前職はコンサルティング会社で中藏の担当コンサルタントだったんですね。
いっしょに仕事をするうちに同じ大学出身の社員と意気投合し、
中藏に来ました。入社までの流れは会長と同じですね(笑)。
いろいろな仕事をしていく中で、
京都に関連したことをしたいという想いがあって転職しました」

「学生時代は車のデザインに興味があったので、工業デザインを学んでいました。
新卒で入ったのはデザイン事務所です。20年ほど前には御池通をデザインしました」

――町家に住むのは大変ですか?

「町家に住むのは大変です。冬は寒いですし。
それでも先祖が代々住んできた家だから守っているという人もいる。
住むとなると、憧れの面と現実的な面と二面性がありますね。
町家は一回壊すと再生できないです。
だからできるだけ残したまま直すようにしています」

「町家をリフォームする際に、あまりにも状態が悪いと、
新築以上にお金がかかることがあります。
だから古い家はまず現場を見て、相談しながらすすめていきます」

「古い家だとあえてリフォームするケースがあります。
戦前と戦後で日本では建ぺい率が変わったので、
土地に対して建物が占める割合が変わりました。
いまは100坪の土地に100坪の建物を建てられないんですね。
だから古い家は建て直すときにゼロから新築するのではなくて、
あえてベースを残してリフォームすることもあります」

――すごくたくさんのことを知ってますね。

「この世界ではしっかり修練して、
知識や情報を自分のものにしないといけないですよ。
そのためには新しいことは試さないといけない。
情報収集したら、正しく整理して自分なりに解釈をし
そしてお客様に出すようにしています」

「日々の受け答えによってお客様や取引先との信頼は築かれていきます。
信頼されていないと、受け身の仕事ばかりになります。
仕事ではプロとして信頼させないといけない。
不安要素があってはクレームになります。
とくに建築の業界は決めていくことがすごく多い。
情報を整理して、メリットとデメリットを提示できないといけないです」

――最後に。

「これから社会の仕組みが変わるタイミングだと思います。
自分がやりたいことを素直にしてほしいです。
そこに勇気を出して一歩踏み出してほしい。
深く踏み込んでいかないとダメです。
いまの時代は浅い情報ならすぐに手に入ります。
でもそれには価値がない。
好きなことだと長続きできます。
好きなことを自分の情報として発信できたら武器になります。
それに失敗したとしてもやり直せると思います。
勇気を持ってください」

 

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「女性の現場監督の需要は高いのではないでしょうか」

 

次は新卒で入社して10年目になるHさん。
リーマンショックのあおりを受けて地元の広島が就職氷河期だったため、京都へ。
中藏へ入社後は現場監督としてさまざまな建物の工事に立ち会ってきました。
テレビ番組『劇的ビフォーアフター』で中藏がリフォームを手がける際には、
現場担当も務めています。

――現場監督の仕事内容を教えてください。

「現場監督の仕事は、現場の中間管理職です。
営業がヒアリングしたことを職人さんに伝えたり、
工事中に近隣住人とやり取りをしたりもします」

「野球でいえば監督です。自分で作業はしません。職人さんがプレーヤーです。
その工事にあった職人さんを指名するので、適材適所を考えますね。
職人さんによって建物の仕上がりも変わってきますから。
1件の家が建つのに100人くらいは関わっています。
いろんな人が携わっているので、それぞれに指示をします。
信頼関係がないと仕事は任せられないですね」

「日々の仕事は現場をまわることです。できるだけ足を運びます。
また、職人さんや営業やお客様ともよくしゃべります。しゃべることも仕事です」

――職人さんとの連絡手段は?

「職人は3割がガラケーです。残り7割のうち半分は電話機能しか使えないですね。
孫がいる職人さんはスマホを持っていて、ラインでやり取りします(笑)」

「職人さんの年齢層は幅広く中卒の10代から70代までいます。
70代でも僕らより力が強い人もいます。すごい世界ですよ(笑)。
職人は見た目が怖い人が多いけど、しゃべればふつうのおっちゃんとお兄さんです」

――仕事で気をつけていることは?

「まず職人さんの名前を覚えます。
大工さん、水道屋さん、電気屋さんの方々を個人名で呼びます。
次に、その人の好みを覚えます。
仕事の会話の中で趣味や好みの話をしていたら、
もし困った状況になっても話しやすくなりますからね。
これはどの仕事にも共通することですが」

「仕事ではお客様の深いところまで入るようにしています。
住む人にヒアリングをして、細かいところまで確認していきます。
流し台を設置する際も、人によって使い方が違いますから」

「できあがったときにどれだけ対応できるかも大事です。
できません、というのは簡単ですが、何かできることがあると思って対応します」

――仕事で印象に残っていることは?

「80歳を超えたある有名な方の家を担当したときにいわれた言葉ですね。
『人生のうち9割はつらいこと。1割は楽しいこと。
その1割はほとんど覚えていないが、つらかったことは思い出になる』。
その言葉を後々になって実感したのは、1年目に請けた百貨店のテナントの工事です。
朝から晩まで作業をして、夜も材料を運んでましたね」

――難しい状況ではどのようにしてモチベーションを保ちますか?

「人としゃべります。意見やアドバイスをもらえるので。
投げやりにするのではなく、どう取り組んで、どう終わらせるかを考えます。
それに自分の態度って職人に伝わりますから。人としゃべってストレス発散しています」

 

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最後は女子学生への質問に対するHさんのコメント。

――現場監督に女性はいますか?

「女性の現場監督は中藏にも一人います。
まだ割合は少ないですが、業界的には女性が増えています。
女性の方がいいケースもあって、女子校や女子寮の工事は女性の方がやりやすいです」

「家の工事をしていると、収納のことや暮らしのことを聞かれることがあります。
生活面で女性目線のアドバイスができるといいですね」

「現場監督は夏が暑くて冬が寒くて、水で手があれることもありますが、
やりがいがある仕事です。それに知識が豊富になる職業です。
なにより女性の現場監督の需要は高いのではないでしょうか」

 

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参加者の感想
◎京町家の文化を残していく姿勢がカッコイイです。
◎木造建築がトレンドだとかいろいろ話が聞けて楽しかったです。
◎京都にいる人の暮らしを大切にしているのが伝わってきました。
◎外から日本文化を見るのは好きだけど、
内側から支えるにはすごく知識がいるんだと思いました。
などなど。

みなさん、お疲れ様でした。中藏の方々、どうもありがとうございました。

※企業人の会話部分は一部抜粋です。
※実際のイベントはフリートーク形式で行っています。


『企業人と車座で話そう in 京都企業』のイベントページはこちら

① 8/26(金) 株式会社 バイカル(洋菓子の製造・販売)
② 8/31(水) 株式会社 松栄堂(線香・薫香などの製造・販売)
③ 9/ 2 (金) 株式会社 鼓月(京菓子の製造・販売)
④ 9/ 6 (火) 株式会社 しっつ(建築ソフトウエアの開発・販売)
⑤ 9/ 8 (木) 三共精機 株式会社(切削工具・工作機械などの販売)
⑥ 9/13(火) 株式会社 淡交社(茶道関連図書の出版・販売)
⑦ 9/24(土) 土山印刷 株式会社(商業印刷物およびWEB制作)
⑧ 9/28(水) 株式会社 ウエダ本社(オフィス用品の販売、オフィス空間プロデュース)
⑨ 9/29(木) 株式会社 中藏(京町家をはじめ注文住宅・リフォームの設計・施工)
⑩ 10/1(土) 株式会社 シナノトレーディング(業務用テントなどの企画・輸入・販売)

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