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― No Pain No Growth ―「強いラグビーチームから学ぶ職場のチームワーク作り」セミナー前編

2018.11.08

date:2018.10.10

企業の人材育成や定着を考える京都中小企業支援プログラムの一環として、「強いラグビーチームから学ぶ職場のチームワーク作り ―企業の人材定着をコミュニケーションの視点から考える―」を開催しました。講師は、プロラグビーコーチで企業の人材研修も行う二ノ丸友幸さん(Work Life Brand代表)。

二ノ丸さんは学生時代からラグビー選手として活躍し、株式会社カネカ、株式会社クボタでプレー。2016年から独立し、多数のラグビーチームにおいてコーチ業やコーチングディレクター業を務める一方で、企業内人材育成研修や企業ブランディングといったコンサルタント業や顧問アドバイザー業も行っています。研修は年間に70回ほどされています。 

今回はコミュニケーションの視点から企業の人材定着や育成についてお話いただきました。その一部を紹介していきます。

 

アイスブレイク ―しゃべりやすいように―

 

「ラグビーの魅力を5分でプレゼンしてください」
本題に入る前に、二ノ丸さんから、ある参加者へ突然の指令が――。
当てられた方は前に出て、みんなに向かってラグビーの魅力を語ろうとしますが、そもそもラグビーのルールも知らないので、言葉が出てこない…。20秒しか話せませんでした。このように知識や興味がないのにパッと当てられて答えろというのは、ただの無茶ぶりです。

このような無茶ぶりは日本の会社でも日常の光景としてよく見られると言われています。会社の後輩や部下にパッと聞いて、答えられなければ叱責する。こうなると後輩や部下はさらに意見が言えなくなります。

では、もしラグビーの魅力を3人で話し合ったら、意見も出しやすくて、しゃべりやすいのではないでしょうか。二ノ丸さんは高校ラグビーの指導現場でも1人に考えさせるような質問をするより、3人で考えてもらう方が様々な意見が出てくると言います。今回のセミナーでも発言しやすい場作りをした上で、参加者同士で話し合って共有する機会が細かく設けられていました。

 

すごいビジネスマンはどんな人? 

 

ここからが本題です。まずワークショップを行いました。テーマは「What is a Great Businessman?(すごいビジネスマンはどんな人?)」。参加者は各自がホワイトボードに絵とキーワードだけで自由に表現していきます。

「世界をまたにかける」
「変化」
「多様性」
「時間の中でしっかりビジネスをする」
「よむ」
……などなど。各自が思い描くすごいビジネスマンは12人が12通りの答えに。 
続いては、二ノ丸さんから2つのメッセージが示されました。

「――指導者が変われば環境が変わり、環境が変われば選手が変わる」。この言葉はスポーツの現場で言われていることで、例えばプロ野球選手の60%以上はトップの意向に左右されています。選手が移籍して環境を変えるのも、それだけトップの影響が大きいからだと言えます。これは日本のビジネスシーンで会社の若手社員が100%の力があるのに20%しか出せていない場合にも当てはまります。つまりどこの世界でも通じることです。

「――自分が変われば環境が変わり、環境が変われば結果が変わる」。自分が変わることは、言葉、オーラ、寄ってくる人が変わることを指します。人をコントロールすることは難しく、さきに自分がどう変わるか。どれだけの人がこれをできているでしょうか、と二ノ丸さんから問いかけられました。

さらに「矢印を自分に向ける」という言葉を二ノ丸さんはスポーツ現場の指導者によく投げかけています。失敗をつい選手のせいにしがちだけど、はたして自分にも落ち度はないのか。他人のせいにするのではなく、自分に矢印を向けるように。指導者や上司にあたる方には共通して意識してほしいことです。

 

高校生に教えるときも説明は一度しかしません

 

次は、大人の学びについて教えていただきました。
まず前提として、大人には成長や学びの妨げになるものがあります。固定観念、価値観、哲学、成功体験といったものです。そのため大人が学ぶには、頭の中をからっぽにして(ゼロベース思考になって)、ふたたび学び、新しい知識を習得する必要があります。

「No Pain No Growth」。子供の学びには喜びが伴いますが、大人の学びには痛みが伴います。仕事終わりに飲みに行かず、夜に勉強できるか。セミナーで挙手できるか。このような苦痛に耐えたり、恥ずかしさから逃げずに、向き合えるか。
そして、学び続けることができるか。ビジネスでもスポーツでも役職や年齢に応じた知識が必要とされます。つまり上になればなるほど、痛みを伴う学びが欠かせなくなります。よく学生が就職したら勉強から解放される、と安堵していますが、仕事や社会への学びはこれからも続いていくことだと知ってほしいです。 

二ノ丸さんが大人の学びにおいて大事なことに「復習」「失敗体験」「アウトプット」を挙げています。いずれも痛みが伴う行為。例えば、二ノ丸さんは毎月必ずカメラで2時間、仕事中の自身の姿を録画して見直しています。ラグビーの練習後にはコーチ同士での振り返りをしています。いずれも客観視することや他人に指摘されないと気付けないことがあるからです。さらに二ノ丸さんが高校生にラグビーを教えるときも説明は一度しかしません。学生によって理解にばらつきはありますが、わかっている人がアウトプットすることで理解が広がるからです。日本は小学校教育から手を挙げた人しか答えられず、アウトプットする機会が非常に少なく、アウトプットへの抵抗もある人が多いです。しかし、アウトプットしていくことが、する側にとっての学びの機会になるのです。

 

ホラクラシー型組織、VUCA、Dual Carrier

 

続いては、これからのキャリア形成に関する話を中心に伺いました。キーワードとなる用語はいずれも聞き慣れない言葉かもしれませんが、将来的に重要な意味合いがもてるとと思います。

「ホラクラシー型組織」という言葉は、役職がない全員がフラットな組織のことを指します。2007年にアメリカのIT業界から生まれた言葉で、現代はヒエラルキー型組織からホラクラシー型組織への移行期でもあると言われています。日本でも今後このような組織形態が増えていくと予測されています。

VUCAは、Volatility(安定しない)、Uncertainty(不確かな)、Complexity(複雑な)、Ambiguity(曖昧な時代)のイニシャルから取った造語。すでにVUCAの時代が差し迫っていて、今までの常識が非常識になるような、混沌とした世の中が予測されています。そうした時代において、どのように対応するかが問われてきます。

Dual Carrierとは、「会社員としてのキャリア形成」と「社会人としてのキャリア形成」を同時に取り組んでいくことを指します。よくプロ野球選手のセカンドキャリアがテレビで紹介されていますが、これからはスポーツ選手だけでなく、一般の会社員でも社会人としてのキャリア形成を意識する必要があります。言い換えると、これからの時代を迎えるにあたって、所属先の会社のことしか知らない社会人になってしまうとキャリア形成が難しくなっていくと思われます――。

 

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