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イベントレポート『京焼・清水焼窯元陶あん』(コトキャリ2019・京のまち企業訪問ツアー編)

2017.09.13

京都わかせん広報室の学生スタッフによるイベントレポートです。当日の雰囲気や社会人が学生たちとトークをしているときの“印象的な話”をお伝えたいと思います。


date:2017.9.6

一つのイメージに固定されないことが「京都らしい」

 

企業訪問ツアー編第2弾は京焼・清水焼窯元陶あんに行ってきました。 

東福寺駅近くの工房の周辺には、清水焼の窯元がたくさんあります。

この日の工房見学では、まず清水焼の歴史から教えていただきました。
清水焼の歴史は、安土桃山時代に茶道が流行していたころに遡ります。当時都だった京都では、様々なところから陶磁器など一流の物が集まってきていたようです。中国にオーダーして作っていた陶器を、もっと身近なところでつくりたいとの思いから中国から職人を呼び、京都でも制作をするようになったのだとか。

そして、陶磁器といえば産地によって作風のイメージがあると思うのですが、京都は大量に良い原料が取れるわけではないので、職人さんが好きな材料を仕入れ、オーダーを受けていたそうです。そのため、窯元によって作風が異なり、一つのイメージに固定されないことが「京都らしい」そうです。

 

陶あんでもこのようにイメージの異なる商品を制作し、販売されています。
では、美しい絵柄や模様はどのように生まれているのでしょうか。

工房の見学をしながら教えていただきます。

まずは形作りの工程から。
ろくろを使い、茶碗やコップの制作などを行っています。

 
1日になんと100個以上も作るのだとか!
素早い職人技に思わず「すごい!」の声が。 

次に釉薬の工程。

釉薬の液体に陶器を浸すことで、焼きの工程で耐水性が上がったり、光沢が出ます。釉薬の濃度管理をして、そこに陶器を漬けるところまでお一人でされていました。釉薬の濃度や器にかかる厚みによって、仕上がりが左右されるそうです。 

次に絵付けの工程。

下絵の段階では白っぽい色味ですが、焼くととてもきれいな発色になります。
見本がある図案もありますが、すべて職人さんがフリーハンドで描いていきます。

定番の花柄以外にも、金閣寺の図案や、オーダーされたもので依頼主のペットの絵を描くこともあるそうです。

その後、完成品になるまで絵付けと焼きを繰り返します。
一つの器ができるまで、なんと1ヶ月以上かかるそうです。

長い時間と手間をかけて作られる器。どういった人たちが、どのような気持ちで作っていらっしゃるのか、工房見学を終え、土渕社長へお話を伺います。

――働いている方はどういった方が多いですか?

基本的にほとんどの方に正社員として働いてもらっています。職人として働いているひとは美術系の学校出身が多いです。ただ、その中の学科やコースなどはあまり関係ないですね。就職してから作り方は覚えていってもらっています。実店舗やwebサイトでの販売職には美術とは関係のない学校出身の方もいらっしゃいます。

――仕事のやりがいはなんですか?

釜から器を取り出したときに、思っていた以上のものが出来上がると、とてもうれしいですね。ただ、いいものを作ってもお客さんがいいと思ってもらえるものでなければいけないです。陶器の知識がないひとたちにも「かわいい」と言っていただけないと一般化しないので。いろんな世代、いろんな国の方に買ってもらえるものを作りたいです。

――ものづくりで大切にしていることはなんですか?

技術の開発や模様のパターンなど今までにないものを作っていくことと、日本古来の古くていいものを作ること、この両輪でやっていきたいと思っています。
手を抜かずにいいものを作ろうと花結晶柄の技術を確立しました(色鮮やかな花結晶の技法で作られたカップを見せていただきました)。

それと、日本では代々いいものを受け継いでいたけれど、どうやって作っているのか今ではわからないものもあります。その再現研究も行っていて、私と先代の社長しか知らない作り方もあります。釉薬のレシピも重要で、取り扱っているひとはうちには一人しかいません。もう何十年の積み重ねによってできた研究の成果なんです。

また、コストでの戦いではなく、伝統工芸品として作ることを意識しています。それを止めてしまうと京都のものではなくなってしまうので。

――最後に学生へひとことお願いします。

京都で勉強をしていらっしゃるので、陶器以外にもたくさんの京都のものに触れていってほしいなと思います。こういう伝統産業のものって、美術品ではなくて普段の生活で使用するものです。いろいろなものを知って、身近に使うものとして側においてもらえればと思います。

 

参加者の感想

◎一つの焼き物が出来るまで多くの人が関わり、多くの時間(焼く時間・乾かす時間)がかかっていることを知りました。一つの作品ができるのに、小さな物でも一ヶ月かかることを初めて知りました。
◎焼き物という伝統のあるものづくりの中でも、古い技術だけでなく新しい技術も取り入れてオリジナルのものを作り出しているところに興味を持ちました。
◎職人さんの仕事ぶりが、やはり繊細で集中力がすごかったです。
◎伝統を継ぐということは、すごく年月のかかることで、売れ行きが悪くても続けていくことが大切だということがわかりました。工芸の仕事だけど、美術系だけでなく、販売の仕事もある。会社には思っているよりも様々な仕事があるということに気づきました。
◎商品の価格帯の話やブランドとしての質の保ち方への考え方が印象的でした。
◎陶芸は美術品じゃないので、作ったものを使ってもらって初めて価値があること、出来るまでの期間がものすごく長いことがとても印象的でした。

陶あんのみなさま、ありがとうございました。
参加者の方々にとって工房見学や働く方との会話の中で、伝統産業と呼ばれる業種で働くことのイメージがより鮮明になったのではないかと思います。

*トーク内容は一部抜粋です
*実際のイベントはフリートーク形式で行っています。


『コトキャリ2019・京のまち企業訪問ツアー編』のイベントページはコチラ

8/24(木) 岡山工芸(友禅)
9/6(水) 京焼・清水焼窯元陶あん(うつわ)
9/21(木) 京都紋付(染色)
9/27(水) 渡月亭(旅館)
10/4(水) 岩井製菓(京飴)
10/25(水) フクナガ(飲食)
11/1(水) 松栄堂(お香)
11/8(水) 上羽絵惣(絵具)
11/29(水) ワタキューセイモア(商社)
12/13(水) 伊藤久右衛門(宇治茶)

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