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イベントレポート『岡山工芸』(コトキャリ2019・京のまち企業訪問ツアー編)

2017.09.02

こんにちは。
京都企業と学生との交流イベント「コトキャリ2019・京のまち企業訪問ツアー編」が始まりました! このイベントでは京都企業10社を訪問し、社内見学やその企業で働く社会人との座談会を通して将来の”働き方“について考えたりします。なお、昨年の「企業人と車座で話そう in 京都企業」からイベント名を変更しています。

イベントレポートでは、当日の雰囲気や社会人が学生たちとトークをしているときの“印象的な話”をお伝えたいと思います。また、より多くの学生が興味を持てるように京都わかせん広報室の学生スタッフが報告していきます。


date:2017.8.24

「京友禅はさまざまな職人の情熱でできています」

 

第1弾に訪問したのは岡山工芸。
歴史のある京友禅の伝統文化を守り、現代に着物の美しさを伝えています。

場所は岡山工芸の伏見アトリエ。地下鉄くいな橋駅と京阪深草駅の間に位置しています。名水で有名な伏見に工房を含む自社アトリエが建っています。

 たくさんの史料に囲まれた会議室からイベントスタートです。
当日の気温が36℃と高く、到着すると冷たいお茶やお菓子などが用意されていて温かいおもてなしを受けました。今回の参加者は女性10名男性1名の学生から社会人、芸術を専攻している大学生やそうでない大学生も、中にはフランス出身の方などバラエティーに富んだメンバーが参加しました。やはり、みなさんの興味は日本画や京都の伝統工芸。

まず、京友禅についての工程や技術の高さなどを動画でご説明いただきました。
ここでは動画は紹介できませんが、以前テレビで放送された動画を見せていただきました。まずは工程の概要を、実物のパネルを用いて詳しく説明。

京友禅の制作では11工程に及びます。また、場合によって工程が増えることもあるそうです。

1.企画(お客様の要望にそって)
2.図案の作成(データ保存に移行中)
3.青花下絵(図案から1反ずつ下書きをします)
4.糊置(色と色が混ざり合わないための防波堤の役割)
5.伏せ糊(下地以外を発色させないため)
6.地染め(下地染め)
7.蒸し水元(下地の発色)
8.彩色(色づけの作業)
9.蒸し水元(反全体の発色)
10.印金(金箔、銀箔をいれる)
11.刺繍(作品に立体感を持たせる)

1つ1つの工程を段階で比べて理解することができました。

 

「京友禅は分業制、多くの職人の手によって生み出されている」

 

次はお楽しみ工房見学。まずは図案の保管部屋から。
300年の伝統で扱ってきた図案は1万6千枚。いままでは紙で保管されていました。現在はデジタルで管理し、スケッチではなくパソコンで絵柄を選んでいます。

次は糊置、彩色、色づくりを行っている工房を見学しました。

今回はこの3種類の工程を行う職人の方を自社アトリエで見学し、熟練作業の様子をうかがうことができました。10万色を超える色見本から色づくりをされる職人さんから新人の職人まで。この職人集団によって京友禅の文化は守られているのだと改めて感じました。

 

「世界に目が向いていたからこそ日本の文化に興味を持った」

 

最後はトークタイム。
3チームに分かれて質問を投げかけました。

まず1人目は営業部の山下さん。

京都の大学では英語を専攻。ワーキングホリデーでバンクーバーの寿司屋の店長をしていた変わった経歴の持ち主です。

―どうして京友禅に興味を持ったのですか?

大学卒業後、専攻していた英語を使うためにカナダに行きました。でもそんなとき、逆に「和」に興味を持ち、職人になろうと思い日本に帰ってきました。そして岡山工芸を受けて職人をさせてもらいました。

当時、伝統工芸士の師匠から「早く一人前になれ」と言われるくらい手先が器用だったので、比較的はやく彩色の仕事をできるようになりました。

―岡山工芸の営業部ってどんなお仕事ですか?

言い換えると総合プロデューサーですね。総合的に問屋や小売店のお客様の要望にそってデザインを提案して、契約している職人に仕事の依頼を行います。もちろんそれぞれ工程の出来具合を確認するのも僕らの仕事です。

 

「やりたいことがたくさんあった」

 

次に営業部の谷さんからお話をお聞きしました。
京都の芸大出身で岡山工芸に就職されました。

―職人にはなろうとは思わなかったのですか?

もともとやりたいことはたくさんありました。それを岡山工芸の面接で伝えると、入社後まずは事務に配属になり、京友禅が作られる流れを学びました。営業部に異動した今では、事務で学んだことを京友禅の営業に必要な知識として活かせています。この会社だから自分の熱意を伝えることができました。そして様々な仕事をさせてもらっています。

いまは営業でお客様にお会いした時に、実際に商品を絵に描きながら提案しています。ここでは芸大で学んだことが活かせています。ものづくりを自分の好きなように考えながら提案できます。それは職人ではできない仕事です。

―営業で成功したことは? 失敗したことは?

日ごろは会社にある図案を問屋さんに提案して営業を取ってくることが多いのですが、ある日、問屋さんの「そういえば伊藤若冲の生誕300年に向けてなにかしないとなぁ」という雑談を聞いて「それだ!」と思いました。すぐに会社で図案やラフ案を準備して自分から新たな営業開拓をしました。とても好評で自分で企画を通すことができました。逆にこれは売れる!と思っていた商品がいざ形にしたら売れ行きが良くないこともあります。

 

「情熱だけでできるものではないが、情熱がなければできない」

 

最後に岡山社長にお話しを伺いました。

―職人はだれでもできるのですか?

まず職人と社員の雇用形態が異なります。職人はいわゆる正社員として雇っているわけではなく、出来高払いでお給料をお支払いしています。1反いくらの世界なのでそれだけで生きていくのはなかなか大変です。まずは指導期間がありますが、その期間は給料をお支払いすることができません。職人さんを面接する際には、そのことをまずお伝えしています。また、どのくらい収入を得られるのかはその人次第です。仕事が早くより丁寧な人、自分で彩色の色を考えられる人になれるか。そこはシビアな問題ですね。

採用基準は特にありませんが、現状の収入の理解をしてもらって、それでも情熱がある人が続けられている職人さんです。

―社員になるには芸大に通っていなくても大丈夫ですか?

入社してすぐはたしかに基礎や技術において知識が豊富な芸大出身の人が有利かもしれません。しかし、やる気やセンスがある人、お客様に誠実な対応ができる人、そんな人ならすぐにその差は無くなると思います。

―新しい友禅の柄はどのように提案していますか?

意匠部という部署が消費者のニーズに応じて新たなデザインを提案し、それを営業部から問屋や小売店に売り出しています。また、月に一度新しいデザインをみんなで持ち合ってオリジナルブランドの柄を決めています。そこで選ばれたものは会社の図案として採用されます。

座談会の感想です。

まず職人さんの雇用形態に驚きました。職人だからできる仕事、社員だからできる仕事を知ることができました。しかし、双方とも目指しているものや熱意は同じなのだと感じました。今回の訪問では、伝統文化を守る厳しさやその努力を感じることができました。

 

参加者の感想
◎様々な経歴を持った方が、「興味をもった」事をきっかけに働いていらっしゃることが印象的でした。
◎営業と一言でいっても、マネージャーのような働き方や、デザインをしながらの提案など、幅広い仕事内容だと知った。
◎芸術系の大学を出ていなくても、職人など着物の仕事への道は開けていることがわかって、よい機会になりました。
◎興味を持って、本当にやる気があれば、大学に関係なく仕事はできると知ることができました。
◎職人として仕事をすることの責任感や、「好き」だけでは難しいこともあるということを気づきました。 

みなさん、お疲れ様でした。
岡山工芸の方々、どうもありがとうございました。

*トーク内容は一部抜粋です
*実際のイベントはフリートーク形式で行っています。


『コトキャリ2019・京のまち企業訪問ツアー編』のイベントページはコチラ

8/24(木) 岡山工芸(友禅)
9/6(水) 京焼・清水焼窯元陶あん(うつわ)
9/21(木) 京都紋付(染色)
9/27(水) 渡月亭(旅館)
10/4(水) 岩井製菓(京飴)
10/25(水) フクナガ(飲食)
11/1(水) 松栄堂(お香)
11/8(水) 上羽絵惣(絵具)
11/29(水) ワタキューセイモア(商社)
12/13(水) 伊藤久右衛門(宇治茶)

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